JR東日本は2026年11月5日、モバイルSuicaで買える定期券とSuicaグリーン券の範囲を2027年3月(予定)から広げると発表しました。柱は3つです。発着駅にIC非対応駅を含む定期券を「みせるモバイル定期券」としてアプリで買えるようになること、Suicaエリアと JR東海のTOICAエリアにまたがる定期券をモバイルSuicaでも買えるようになること、そして函南・三島・沼津の各駅をSuicaグリーン券(普通列車用)の乗降駅に加えることです。
これまで、IC非対応駅を発着する定期券は磁気定期券しかなく、駅の窓口や券売機に行く必要がありました。2027年3月からは、手元のスマートフォンで購入から更新まで済ませられる区間が増えます。この記事では、発表された内容を整理したうえで、誰に関係するのか、使う前に知っておきたい制限は何かを順に説明します。

モバイルSuicaの定期券、2027年3月から何が変わる?
① 発着駅がIC非対応駅でも、「みせるモバイル定期券」としてモバイルSuicaで定期券を買える
② Suicaエリアと TOICAエリアにまたがる一部区間の定期券を、モバイルSuicaでも買える
③ モバイルSuicaのSuicaグリーン券(普通列車用)で、JR東海の函南・三島・沼津を乗降駅に選べる
開始時期は3つとも「2027年3月(予定)」です。具体的な開始日は未発表で、JR東日本は詳細を改めて知らせるとしています。なお、「みせるモバイル定期券」という名前のサービスそのものは、2026年4月10日にJRグループとして予告されていました。今回の発表では、JR東日本の対象券種や発売範囲、使えないサービスといった具体的な条件が示されました。
| 項目 | これまで | 2027年3月から(予定) |
|---|---|---|
| 発着駅にIC非対応駅を含む定期券 | 磁気定期券のみ | モバイルSuicaの「みせるモバイル定期券」でも購入できる |
| SuicaエリアとTOICAエリアにまたがる定期券 | Suica(カードタイプ)なら一部区間を購入できる | モバイルSuicaでも購入・利用できる |
| 函南・三島・沼津を乗降駅とするSuicaグリーン券 | カードタイプのSuicaで、JR東日本管内発→3駅着のみ | モバイルSuicaで購入できる(カードは従来の範囲のまま) |
「みせるモバイル定期券」とは?
みせるモバイル定期券は、IC非対応駅で係員に「モバイルSuica」アプリの定期券画面を見せて使う定期券です。IC非対応駅どうしの区間や、片方だけがIC非対応駅という区間でも買えるようになります。
使い方は駅によって変わります。自動改札機があるIC利用可能駅では、ふだんのモバイルSuicaと同じように改札機にタッチします。一方、IC非対応駅や列車内では、アプリのカードフェイスをタップして定期券画面を表示し、係員に見せます。定期券画面には、偽造を防ぐために背景の動画と時刻が表示されます。スクリーンショットで代用されないための工夫といえます。
購入は、外出先や自宅からアプリで行います。支払いには、手持ちのクレジットカードやteppayが使えると案内されています。
対象になる定期券と発売範囲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象券種 | 通勤定期券、通学定期券(中学・高校・大学/専門学校等) |
| 対象外 | 連絡会社線との連絡定期券、グリーン定期券、FREX/FREXパル定期券、小児用定期券など |
| JR東日本線で完結する区間 | 営業キロで60キロ以内 |
| JR東海線にまたがる区間 | 営業キロで100キロ以内 |
| そのほかの条件 | 乗車駅にJR東日本の駅を指定し、JR東日本の路線を含むこと。臨時駅など一部対象外の駅あり |
発着駅がどちらもIC利用可能駅の場合は、みせるモバイル定期券ではなく、これまでどおりの通常のモバイルSuica定期券になります。つまり、みせるモバイル定期券は「IC非対応駅が絡む区間のための追加メニュー」という位置づけです。
使う前に知っておきたい制限

便利になる一方で、通常のモバイルSuica定期券とは使い勝手が違う点があります。いちばん大きいのは、有効期間中はチャージ残高を使って定期券区間の外の鉄道に乗れないことです。通常のモバイルSuica定期券なら、区間外に乗り越しても残高から精算できますが、みせるモバイル定期券ではそれができません。
また、新幹線eチケットサービス、タッチでGo!新幹線、タッチでエキナカなど、一部のサービスも使えません。区間外へ出かけるときや、これらのサービスを使うときは、別のICカードかきっぷを用意するよう案内されています。なお、バスや買い物には通常のモバイルSuicaと同じように使えます。
休日に定期券区間から先へ出かけることが多い人は、カードタイプのSuicaを1枚持っておくと安心です。スマートフォン1台にまとめたい人は、この制限を受け入れられるかどうかを先に考えておきましょう。
SuicaエリアとTOICAエリアにまたがる定期券もモバイルに

2つ目の変更は、JR東日本のSuicaエリアとJR東海のTOICAエリアにまたがる定期券です。これまでもカードタイプのSuicaでは一部区間を買えましたが、モバイルSuicaでは扱っていませんでした。JR東日本は、利用者からの要望が多かったとしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象券種 | 通勤定期券、通学定期券(中学・高校・大学/専門学校等)、グリーン定期券、FREX/FREXパル定期券 |
| 対象外 | 連絡会社線との連絡定期券、小児用定期券など |
| 通勤・通学定期券の発売範囲 | 営業キロで100キロ以内 |
| グリーン定期券・FREX/FREXパル定期券の発売範囲 | 運賃計算キロで300キロ以内 |
| そのほかの条件 | 発着駅と途中駅のすべてがIC利用可能駅であること。乗車駅にJR東日本の駅を指定すること |
グリーン定期券とFREX/FREXパル定期券は、事前に専用フォームから申請が必要です。また、一部の2区間定期券や、グリーン車の利用区間に熱海・沼津間を含むグリーン定期券など、発売できない区間もあります。こちらはみせるモバイル定期券とは別の仕組みで、IC利用可能駅どうしの区間に限られる点に注意してください。
Suicaグリーン券に函南・三島・沼津が加わる
3つ目は、普通列車のグリーン車に乗るためのSuicaグリーン券です。モバイルSuicaで選べる乗降駅に、JR東海の函南・三島・沼津が加わり、TOICAエリアにまたがるグリーン券をモバイルSuicaで買えるようになります。
カードタイプのSuicaなど交通系ICカードでの発売は、引き続き「JR東日本管内発→JR東海管内(函南・三島・沼津)着」に限られます。ただし、JRE POINTで交換するSuicaグリーン券や、JRE BANKの特典などで提供されたSuicaグリーン券は対象外です。また、東海道線の熱海〜沼津間の駅どうしだけで乗る場合は、駅で紙のグリーン券を買う必要があります。
どんな人に関係する?
今回の拡大で特に恩恵があるのは、次のような人です。
- 自宅の最寄り駅がIC非対応駅で、これまで磁気定期券を窓口や券売機で買っていた人
- 通学定期券を子どもに持たせていて、更新のたびに駅へ行くのが負担だった保護者(中学生以上が対象。小児用は対象外)
- 静岡県東部と首都圏を通勤で行き来し、カードタイプのSuicaで定期券を使っていた人
- 函南・三島・沼津から東海道線のグリーン車をよく使う人
一方、発着駅がどちらもIC利用可能駅で、JR東日本の中だけを移動している人は、今の使い方は変わりません。
2027年3月までに準備しておきたいこと
- 自分の定期券区間の発着駅がIC利用可能駅かどうか、JR東日本の案内で確認する
- みせるモバイル定期券の発売範囲(JR東日本線内は60キロ以内)に入るかを確かめる
- モバイルSuicaアプリを入れ、支払いに使うクレジットカードなどを登録しておく
- 区間外へ乗ることが多い人は、別のICカードを用意するかどうか決めておく
- グリーン定期券やFREXを使う人は、専用フォームでの事前申請が必要になることを覚えておく
開始日や申し込みの細かい手順はまだ発表されていません。今持っている磁気定期券をいつ切り替えるかは、正式な開始日の案内を待ってから決めるのが確実です。

よくある質問
Q. みせるモバイル定期券はいつから使えますか?
A. 2027年3月の開始予定です。具体的な日付は未発表です。
Q. 運賃は磁気定期券と同じですか?
A. 今回の発表資料には運賃についての記載がありません。正式な案内を確認してください。
Q. 子どもの通学定期券にも使えますか?
A. 中学・高校・大学/専門学校等の通学定期券は対象です。小児用定期券は対象外です。
Q. 定期券区間の外まで乗り越したらどうなりますか?
A. みせるモバイル定期券の有効期間中は、チャージ残高を使った区間外の鉄道利用ができません。別のICカードかきっぷを用意してください。
Q. ICOCAのエリアでも同じサービスがありますか?
A. 2026年4月のJRグループの発表では、モバイルICOCAでもみせるモバイル定期券を2027年春に始める予定とされています。この記事ではJR東日本が発表した条件を中心に紹介しています。
まとめ
2027年3月(予定)から、モバイルSuicaで買える定期券とグリーン券の範囲が広がります。IC非対応駅を含む区間は「みせるモバイル定期券」として係員に画面を見せて使い、JR東日本線内は営業キロ60キロ以内、JR東海線にまたがる場合は100キロ以内が対象です。あわせて、SuicaエリアとTOICAエリアにまたがる定期券や、函南・三島・沼津のSuicaグリーン券もモバイルSuicaで買えるようになります。
ただし、みせるモバイル定期券では区間外の乗り越しにチャージ残高が使えず、新幹線eチケットサービスなども使えません。窓口に並ぶ手間がなくなる便利さと、こうした制限を比べて、自分の使い方に合うかを考えておきましょう。開始日などの詳細は、JR東日本の今後の案内を確認してください。



