GMOインターネットのクラウド型Windowsデスクトップ「お名前.com デスクトップクラウド」に第三者が不正アクセスし、サーバー内に保存されていた証券会社・FX会社の取引口座のログイン情報などが取得され、不正利用された可能性があります。影響を受けた可能性があるサーバーは最大2万6739件で、全プランが2026年10月21日から停止中です。利用者は、このサービス以外の端末から取引口座のパスワードを変更し、取引履歴を確認してください。不正取引で生じた損失の補償について、申請方法は2026年11月6日までに案内される予定です。
このサービスは、FXの自動売買ツールなどを24時間動かしておくために、個人でも契約している人が多いものです。GMOインターネットは10月21日の第1報から10月30日までに、16回の続報と契約者向けの案内を出しました。11月2日には、親会社のGMOインターネットグループが役員報酬の減額を発表しています。この記事では、公式に発表された内容だけをもとに、何が起きたのか、補償やお見舞金をどう受け取るのか、そして利用者が今日やるべきことを順番に整理します。

お名前.com デスクトップクラウドの不正アクセスとは?公式発表の要点
「お名前.com デスクトップクラウド」は、インターネット上のサーバーで動くWindowsのデスクトップを借りられるサービスです。自宅のパソコンを付けっぱなしにしなくても、MT4やMT5といった取引ツールを動かし続けられるため、FXや証券の取引に使われてきました。GMOインターネットの発表をまとめると、要点は次の3つです。
① 2026年10月20日、一部の利用者のサーバーに第三者が不正なプログラムを設置していたことを確認
② サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報などが取得され、不正利用された可能性がある。影響を受けた可能性があるサーバーは最大2万6739件
③ 全プランのサーバーを10月21日から停止。再開時期は未定で、代替サービスへの乗り換えを案内中
2万6739件という数は、影響を受けた可能性があるサーバーの数で、不正アクセスや情報の取得が確認された件数ではないと説明されています。また、クレジットカード情報などの決済情報は、サーバー上には保持していないとしています。侵入の経路は、11月3日時点で公式には発表されていません。
発表までの流れ
| 日付(2026年) | できごと |
|---|---|
| 10月19日 | 利用者からの問い合わせを受けて調査を始める |
| 10月20日 | 一部のサーバーで不正なプログラムを確認。新規申し込みとコントロールパネルを停止 |
| 10月21日 | 全プランのサーバーを順次停止し、第1報を公表。脅迫メールを受け取ったとも公表 |
| 10月22日 | 警察に相談。取引口座での不正な操作の報告を受け、第2報でパスワード変更などを呼びかけ |
| 10月24日 | お見舞金の支払い、不正取引による損失の補償、代替サービスの提供を決定(第4報) |
| 10月27日 | 攻撃者による情報の公開を確認(第10報)。情報を公開された人への特別お見舞金を発表(第12報) |
| 10月28日〜29日 | 攻撃者のサイトの停止を確認。犯人の特定につながる情報を募る懸賞金制度を開始 |
| 10月30日 | 契約者へ、お見舞金の手続きと代替サービスの個別の案内を開始 |
| 11月2日 | GMOインターネットグループが、役員4人の報酬減額を決議 |
影響を受ける可能性がある人
注意が必要なのは、お名前.com デスクトップクラウドを契約していた人、とくにサーバー上で証券会社やFX会社の取引ツールを使っていた人です。サーバーの中に取引口座のIDやパスワードを保存していた場合、それが取得された可能性があります。
もう一つ見落としやすいのが、サーバー内のブラウザなどに保存していたほかのサービスのパスワードです。たとえばメールやネット銀行のパスワードを同じサーバーのブラウザに記憶させていた場合や、取引口座と同じパスワードをほかのサービスでも使っている場合は、そちらも変更の対象になります。
一方で、お名前.com のドメイン登録やレンタルサーバーなど、ほかのサービスだけを使っている人について、今回の不正アクセスの対象になったという発表はありません。
今すぐできる対策:契約者向けチェックリスト
GMOインターネットが第2報・第3報で呼びかけた内容を、取りかかる順番に並べました。すでにパスワードを変えた人も、2と3はあらためて確認しておきましょう。
- このサービス以外の端末で、取引口座のパスワードを変える:FXの取引に使っていない、安全なパソコンやスマホから、取引ツールと取引口座のパスワードを変更します。
- ログイン中のセッションをすべて切断する:パスワードを変えても、すでにつながっている接続が残る場合があります。証券会社やFX会社の案内に従ってログオフし、必要なら事業者に連絡します。
- 取引履歴と残高を確認する:身に覚えのない注文や出金がないか確認し、あればすぐに取引先の事業者に連絡します。
- 二段階認証を設定する:取引先が二段階認証などを用意していれば、オンにします。
- サーバーに保存していたほかのパスワードも変える:同じパスワードを使い回しているサービスも忘れずに変更します。
- 手元の端末をウイルス対策ソフトでフルスキャンする:あわせてデータのバックアップも取っておきます。
MT4やMT5の具体的な操作手順は、GMOの発表には載っていません。パスワードの変え方やセッションの切り方は、口座を開いている証券会社・FX会社の公式の案内を確認してください。
お見舞金と補償の内容、受け取り方

GMOインターネットは10月24日の第4報と10月27日の第12報で、次の支援を発表しました。
| 支援 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| お見舞金 | 現在このサービスを利用しているすべての人 | 一律5,000円。金銭的な被害の有無は問わず、補償とは別に支払う |
| 不正取引による損失の補償 | GMOが不正アクセスによる不正取引と認めた取引 | 取引で実際に出た損失(差損と手数料など)。取引所などから返金があった場合は残りの額を支払う |
| 代替サービス | Windowsデスクトップを使い続けたい契約者 | 独立したクラウド基盤の代替サービスへの乗り換えで、6か月間無償。本人の同意なしに移行はしない |
| 特別お見舞金 | 攻撃者に情報を公開された人 | 公開された情報の区分ごとに1万円〜2万5,000円(複数あれば合計)。1公開あたり上限300万円 |
補償の対象にならないもの
補償の対象は、実際に出た損失です。相場の変動による損失、得られたはずの利益、そのほかの間接的な損害は対象外とされています。補償の上限額は発表されていません。
申請の流れと必要なもの
補償の申請方法、必要書類、受付期間、支払い時期は、2026年11月6日(金)までに公式サイトとメールで案内される予定です。現時点で必要になる可能性があるとされているのは、次のものです。
- 対象の取引の日時・内容・損失額がわかる情報
- 本人確認書類
- MT4・MT5などの閲覧専用パスワード(手順は別に案内される予定)
あわせて、取引先の証券会社・FX会社にも「第三者の不正アクセスによる取引である」と伝え、取り消しや返金を相談するよう求められています。申請の案内が届く前に、取引履歴の画面を保存しておくと手続きがスムーズです。
便乗した詐欺と「公開された情報」に注意
大きな事件のあとは、補償や返金を装った詐欺が増えがちです。GMOインターネットは、次の点をくり返し呼びかけています。
- GMOがメールや電話で、パスワード・認証コード・カード情報・事前の手数料を尋ねることはない(補償の確認に使う閲覧専用パスワードを除く)
- 「被害金を取り戻す」として費用を求める連絡には応じない
- 犯人を名乗る連絡が来ても、リンクやファイルを開かず、返信もしない
- 公開された情報と称するサイトにはアクセスせず、URLや内容をSNSなどで転載・拡散しない。すでに開いてしまった場合は、ウイルス対策ソフトでフルスキャンする
心当たりのないメールやSMSが届いたら、本文のリンクは使わず、お名前.com の公式サイトから案内を確かめるのが安全です。
困ったときの相談先
| 相談したいこと | 窓口 |
|---|---|
| サービス・補償・お見舞金のこと | お名前.com のお問い合わせフォーム、または電話 03-5456-2560(土日・祝日を含め24時間受付) |
| 身に覚えのない取引・出金 | 口座を開いている証券会社・FX会社 |
| 被害届・サイバー犯罪の相談 | 最寄りの警察署、または警察庁のオンライン受付窓口(緊急のときは110番) |
| 金融取引のトラブル全般 | 金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(平日10時〜17時) |
クラウドPCやVPSを使う人が見直したいこと
今回の件は、デスクトップクラウドを使っていない人にとっても他人事ではありません。クラウド上のパソコンやVPSは便利な反面、中に入れた情報は自分の手元から離れた場所に置かれます。ふだんから次の点を見直しておくと、万一のときの被害を小さくできます。
- パスワードを使い回さない:取引口座、メール、ネット銀行は、それぞれ別のパスワードにする。
- 重要な口座は二段階認証をオンにする:パスワードが知られても、すぐにはログインされにくくなる。
- 出金先の登録や通知の設定を確認する:ログインや出金のたびにメールが届く設定にしておくと、異変に早く気づける。
- サーバーのブラウザにパスワードを記憶させない:必要な分だけを入力し、保存は手元の信頼できる端末やパスワード管理アプリにまとめる。
よくある質問
Q. お見舞金を受け取るには、自分で申し込む必要がありますか?
A. GMOインターネットは10月30日から、契約者にお見舞金の手続きを個別に案内しています。届いたメールが本物かどうか不安な場合は、お名前.com の公式サイトで確かめてください。
Q. 被害が出ていなくてもお見舞金はもらえますか?
A. はい。お見舞金5,000円は、金銭的な被害の有無にかかわらず、現在このサービスを利用しているすべての人が対象です。
Q. サービスはいつ再開しますか?
A. 再開時期は未定と発表されています。Windowsデスクトップを使い続けたい人には、6か月間無償の代替サービスへの乗り換えが案内されています。
Q. 代替サービスに移らない場合、料金はどうなりますか?
A. 移行しない場合の契約や料金の扱いは、契約者にメールで案内されることになっています。内容は個別の案内で確認してください。
まとめ
お名前.com デスクトップクラウドへの不正アクセスでは、サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報などが取得され、不正利用された可能性があります。契約者は、このサービス以外の端末から取引口座のパスワードを変更し、ログイン中のセッションの切断、取引履歴の確認、二段階認証の設定を済ませておきましょう。お見舞金は一律5,000円で、不正取引による損失の補償の申請方法は2026年11月6日までに案内される予定です。取引履歴を保存しておき、補償や返金を装った連絡には十分に注意してください。



