キヤノンマーケティングジャパンとイーセットジャパンは、個人向けの総合セキュリティソフト「ESET HOME セキュリティ」の新バージョン「V20」を2026年10月28日に提供開始しました。生成AIの回答に含まれる危険なリンクを確かめる「AI会話セキュリティ」や、AIエージェントが扱うファイルを調べる機能が加わりました。価格は1台・1年版で4,750円(エッセンシャル)から。すでに製品を購入している人は無償で V20 に更新できます。
ChatGPT などの生成AIは、調べもの・文章作り・プログラム作りに広く使われるようになりました。その一方で、AIが示したリンクの先が偽サイトだったり、AIに任せた作業の途中で危ないファイルが動いたりする心配も出てきています。この記事では、V20 で何が変わったのか、3つのエディションのどれを選べばよいのか、いまの利用者は何をすればよいのかを順番にまとめます。

ESET HOME セキュリティ V20とは?
ESET HOME セキュリティは、ESET 社のセキュリティ製品で、日本ではキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が販売している個人向けのセキュリティソフトです。ウイルス対策のほか、フィッシング対策、ネット決済の保護、迷惑メール対策、ファイアウォール、ペアレンタルコントロールなどをひとつにまとめています。Windows・Mac・Android・iPhone で使え、契約した台数の中でパソコンとスマホを組み合わせて守れます。
今回の V20 は Windows 版のプログラムの新バージョンで、テーマは「AIを使うときの危険への対策」と「詐欺対策」です。キヤノンMJは発表の中で、離れて暮らす親がいる人を対象にした独自の調査(2026年9月、911人)の結果も示しており、51.8%が親のスマホやパソコンの使い方に不安があると答えています。不安の理由で最も多かったのは「偽のSMSやメールにだまされること」でした。V20 では、こうした家族の端末をまとめて見守る機能にも力を入れています。
V20の主な変更点まとめ
① 生成AIの回答に含まれる危険なURLやコードを警告する「AI会話セキュリティ」(プレミアム・アルティメット)
② AIエージェントが扱うファイルや、プログラムの動きを見張る「AIエージェントセキュリティ」「AI行動監視」(全エディション)
③ 管理画面「ESET HOME」で家族の端末の保護状況をまとめて確認でき、iPhone専用の詐欺対策アプリも公開予定
3エディションの価格と機能の違い
V20 のラインアップは、基本の「エッセンシャル」、VPN 付きの「プレミアム」、最上位の「アルティメット」の3つです。価格は新規ダウンロード版の税込価格です。
| エディション | 期間 | 1台 | 3台 | 5台 |
|---|---|---|---|---|
| エッセンシャル | 月額 | 475円 | 605円 | 735円 |
| 1年 | 4,750円 | 6,050円 | 7,350円 | |
| 3年 | 8,070円 | 10,291円 | 12,500円 | |
| プレミアム | 月額 | 594円 | 724円 | 854円 |
| 1年 | 5,940円 | 7,240円 | 8,540円 | |
| 3年 | 10,100円 | 12,310円 | 14,520円 | |
| アルティメット | 1年 | - | - | 14,260円 |
| 3年 | - | - | 24,240円 |
パッケージ版はエッセンシャルとプレミアムだけで、価格はオープン価格です。アルティメットはダウンロード版だけの販売です。スマホだけを守りたい人向けには「ESET モバイル セキュリティ」(1台・1年 3,300円)もあります。
機能の違いは次のとおりです。フィッシング対策・決済保護・ランサムウェア対策・ファイアウォール・ペアレンタルコントロール・AIエージェントセキュリティ・AI行動監視などは、3つのエディションすべてに入っています。
| 機能 | エッセンシャル | プレミアム | アルティメット |
|---|---|---|---|
| AI会話セキュリティ | - | ● | ● |
| AIエージェントセキュリティ/AI行動監視 | ● | ● | ● |
| VPN | - | ●(3台まで) | ●(10台まで) |
| クラウドサンドボックス(ESET LiveGuard) | - | ● | ● |
| フォルダーガード/データ暗号化 | - | ● | ● |
| 画像の位置情報などを消すメタデータクリーンアップ | - | - | ● |
| ランサムウェアで暗号化されたファイルの修復 | - | - | ● |
| 個人情報漏えい監視(ダークウェブ) | - | - | ● |
新機能を詳しく解説
AI会話セキュリティ:生成AIが示すリンクやコードをチェック
生成AIの回答に含まれる URL やプログラムのコードを自動で確かめ、不審なものが見つかると警告します。AIに「〇〇の公式サイトを教えて」と聞いたとき、答えのリンク先が偽サイトだった――という事態に備える機能です。
ただし、使える条件は限られています。対象はプレミアムとアルティメットだけで、Windows でブラウザー版の ChatGPT を使う場合に動きます。スマホのアプリ版 ChatGPT や、ほかの生成AIサービスは、公式ページで対象として挙げられていません。
AIエージェントセキュリティ:AIが扱うファイルを実行前に調べる

パソコンの操作をAIに任せる「AIエージェント」は、ファイルをダウンロードしたり、プログラムを動かしたりします。AIエージェントセキュリティは、そうしたファイルやプログラムを実行前に調べ、危険なものを見つけて止めます。全エディションが対象で、Windows と Mac で使えます。
AI行動監視:動いているプログラムの怪しい動きを止める

実行中のプログラムの動きを見張り続け、不審な動作を見つけるとブロックします。ファイルの段階では見抜けなかった危険にも、動き出した後で気づけるようにする二段構えです。対象と対応OSは AIエージェントセキュリティと同じです。
ブラウザー画面保護:ネットバンキング中の画面を盗み見から守る

ネットバンキングを使うときや個人情報を入力するときに、不正なスクリーンショット・画面録画・画面共有で情報が抜き取られるのを防ぎます。お金や個人情報にかかわる画面を、ほかのアプリに勝手に記録・送信されないようにするための機能です。この機能は全エディションに入っています。
家族の端末をまとめて見守る・iPhone向けアプリ

管理画面の「ESET HOME」から、家族それぞれの端末が守られているかを一覧で確認できます。離れて暮らす家族の端末も、Windows・Mac・Android など OS が違っても、まとめて見守れるのが特徴です。
また、詐欺対策の機能を持つ iPhone 専用アプリ「ESET Mobile Security for iOS」が、App Store の審査が通りしだい公開される予定です。iPad には対応しません。公開日と細かな機能は未発表です。
どのエディションを選ぶ?料金の計算例
選び方の目安は次のとおりです。
- エッセンシャル:パソコンやスマホの基本的な守りが欲しい人。AIエージェントの対策や画面保護、ペアレンタルコントロールも入っています。
- プレミアム:Windows でブラウザー版 ChatGPT をよく使う人、カフェや駅のフリーWi-Fiを使うことが多い人(VPN 付き)。
- アルティメット:家族で5台をまとめて守りたい人、ダークウェブへの個人情報の流出を見張りたい人、ランサムウェアへの備えを厚くしたい人。
1年版で台数あたりの金額を計算すると、エッセンシャルは1台版が4,750円、5台版なら1台あたり1,470円です。プレミアムは1台版が5,940円、5台版なら1台あたり1,708円、アルティメット(5台)は1台あたり2,852円になります。家族で使うなら、台数の多い版のほうがお得です。
期間による差も大きく、エッセンシャル1台の場合、月額版を12か月続けると5,700円で、1年版(4,750円)より950円高くなります。3年版(8,070円)なら1年あたり2,690円です。長く使うと決めているなら、3年版がいちばん安く済みます。迷うときは、月額版で試すか、30日間の無料体験版(エッセンシャル・プレミアム)を使ってみるとよいでしょう。
いまの利用者はどうする?V20への更新方法
ESET HOME セキュリティを購入している人は、無償で最新版に更新できます。Windows 版の更新の流れは次のとおりです。
- 先に Windows Update で、Windows を最新の状態にしておく。
- キヤノンMJのバージョンアップのページから、使っている製品の V20 をダウンロードする(アルティメットは「ESET Security Ultimate」、プレミアムは「ESET Smart Security Premium」、エッセンシャルは「ESET Internet Security」の V20.0)。
- ダウンロードしたファイルを実行してインストールする。
- プログラムの自動アップデートを有効にしている場合は、更新の案内が出たら「デバイスの再起動」または「今すぐ再起動」を押して再起動する。
V20 の Windows 版は Windows 11・Windows 10 の64ビット版(日本語版)に対応しています。32ビット版の Windows では使えません。なお、Mac 版は「ESET Cyber Security v10.0」(2026年9月24日公開、macOS Ventura 13 以降)、Android 版は「ESET Mobile Security for Android V12.0」(2026年8月7日公開、Android 10〜17)が最新です。
購入・導入前の注意点
- ほかの会社のセキュリティソフトが入っていると、インストールが止められることがあります。先にアンインストールしておきましょう。無料体験版も、ほかのセキュリティソフトとの併用はできません。
- AI会話セキュリティは Windows のブラウザー版 ChatGPT だけが対象です。ほかの生成AIを主に使う人は、この機能だけを理由に上位版を選ばないほうがよいでしょう。
- 通話フィルターやアプリのロックは Android だけの機能です。OS によって使えない機能があります。
- セキュリティソフトを入れても、AIの答えをうのみにしないことが大切です。銀行や通販のサイトは、AIの回答のリンクではなく、ブックマークや公式アプリから開く習慣をつけましょう。
よくある質問
Q. 今の ESET を使っています。V20 にするのにお金はかかりますか?
A. 製品を購入している人は、キヤノンMJのバージョンアップのページから無償で最新版に更新できます。
Q. エッセンシャルでもAIの対策はできますか?
A. AIエージェントセキュリティと AI行動監視は全エディションに入っています。生成AIの回答のURLを確かめる AI会話セキュリティは、プレミアムとアルティメットだけです。
Q. iPhone でも使えますか?
A. iPhone 専用の新しいアプリ「ESET Mobile Security for iOS」は App Store の審査後に公開予定で、公開日は未発表です。iPad には対応しません。
Q. 試してから買えますか?
A. エッセンシャルとプレミアムには30日間の無料体験版があります。体験後はユーザー登録と利用開始の設定をすれば、再インストールせずに製品版へ移れます。
まとめ
ESET HOME セキュリティ V20 は、生成AIやAIエージェントを使うときの危険に目を向けた新バージョンです。AIが扱うファイルやプログラムの動きを見張る機能は全エディションに入り、ChatGPT の回答のリンクを確かめる機能はプレミアム以上で使えます。価格は1台・1年 4,750円からで、家族で使うなら5台版、長く使うなら3年版がお得です。いまの利用者は無償で更新できるので、Windows Update を済ませたうえで V20 を入れておきましょう。iPhone 向けアプリの公開日は未発表のため、続報を待ちましょう。



