無料で使える画像編集ソフト「GIMP」の最新安定版「GIMP 3.2.8」が、2026年11月2日に公開されました。Windows 11の新しい印刷ダイアログへの対応、一部のMacで起動時に画面が真っ白になる不具合の修正、右から左に書く言語のテキスト編集の改善などに加え、古い画像プラグインのセキュリティ上の問題もまとめて修正されています。GIMP 3.2.6以前を使っている人は、早めに更新しておくと安心です。
GIMPは、写真のレタッチやイラストの加工、画像の書き出しまでこなせるオープンソースの画像編集ソフトです。Windows・Mac・Linuxのどれでも無料で使えるため、有料の画像編集ソフトの代わりとして長く使われてきました。今回の3.2.8は、2026年9月10日に公開された3.2.6からの不具合修正とセキュリティ更新をまとめた版です。
この記事では、GIMPの開発チームが公開したリリース情報とダウンロードページをもとに、3.2.8で変わった点、対応するOS、自分の版の確かめ方と更新の手順、更新するときの注意点を整理します。

GIMP 3.2.8で何が変わった?
3.2.8は大きな新機能を加える版ではなく、使い勝手の改善と不具合の修正が中心です。ただし、印刷やスクリーンショット、起動時の表示など、ふだんの作業で困りやすい部分に手が入っています。主な変更点は次の3つです。
① Windows版:印刷プレビューがWindows 11の新しい印刷ダイアログで動くようになり、既定以外のプリンターもページ設定で正しく選べるようになった
② Mac版:一部のMacで起動時に画面が真っ白になる長年の不具合や、macOS 27でタイトルバーの色が出ない問題を修正
③ 共通:古い画像プラグインや旧来のフィルターが、細工された画像ファイルでクラッシュさせられる問題などのセキュリティ修正
開発チームの集計では、3.2.6からの間に、本体のリポジトリだけで82件の報告が「修正済み」として閉じられ、46件の変更が取り込まれ、コミットは300件にのぼります。3.2.8のコードには27人が関わりました。数字の大きさからも、細かな修正を積み重ねた版であることがわかります。

対応OSとダウンロードできる種類
GIMP 3.2.8は、公式サイト(gimp.org)から無料でダウンロードできます。配布されている種類と、公式ダウンロードページに書かれている動作条件は次のとおりです。
| OS | 配布の形 | 動作条件・対応CPU |
|---|---|---|
| Windows | インストーラー(x86とARMの64bit版を1つにまとめたもの) | Windows 10 バージョン1903以降 |
| Windows | Microsoft Store版 | Windows 11、Windows Server 2022以降 |
| Mac | DMGファイル(Intel用・Appleシリコン用) | macOS 11 Big Sur以降 |
| Linux | AppImage・Flatpak・Snap(x86とARMの64bit版) | AppImageはDebian 13以降相当のディストリビューション |
料金はかかりません。公式サイトでは寄付を受け付けていますが、寄付をしなくてもすべての機能を使えます。
Windows版の変更点
Windows 11の新しい印刷ダイアログに対応
Windows版でいちばん目に見える変化は印刷まわりです。印刷時の[画像の設定]タブにある印刷プレビューが、Windows 11の新しい印刷ダイアログ(Unified Print Dialog)でも動くようになりました。また、これまではページ設定が既定のプリンターを前提にしていた部分があり、3.2.8からは実際に選んだプリンターの設定が使われます。家庭用と仕事用など、複数のプリンターを切り替えて使っている人には助かる修正です。
HDR画面でのスクリーンショットや表示の改善
HDR表示に対応したモニターで、GIMPのスクリーンショット機能がより正しく動くようになりました。ほかにも、タイトルバーとメニューを1つにまとめる表示のときに、タスクバーへの最小化やタイトルバーの影が自然になるよう直されています。複数の画像を一度に開いたあと、キャンバスを動かすと画面が固まったように見える不具合も修正されました。

Mac版の変更点
起動時に画面が真っ白になる不具合を修正
一部のMacで、GIMPを起動すると画面が真っ白のまま操作できなくなる長年の不具合が修正されました。この症状で使うのをあきらめていた人は、3.2.8で改めて試す価値があります。
macOS 27やスクリーンショットへの対応
macOS 27以降では、OS側の変更の影響でタイトルバーの背景色が出なくなっていましたが、3.2.8で元に戻りました。メニューバーのアイコンも正しく表示されるようになります。macOS 14 Sonoma以降では、スクリーンショットの取り込みにAppleのScreenCaptureKitを使うようになりました。Intel Macでは、GIMPに同梱されるPythonの公証(notarization)がそろったことで、Gatekeeperの警告が出にくくなっています。
なお、公式ダウンロードページは、GIMPの開発チームがMacのApp Storeでは配布していないことを明記しています。App Storeで見かける「GIMP」という名前のアプリは開発チームとは関係がないため、Mac版は公式サイトから入手してください。
WindowsとMacに共通の変更点
テキストツールで右から左に書く言語を改善
アラビア語やヘブライ語のように右から左に書く言語で、カーソルの動きや文字詰め(負のカーニング)の扱いが改善されました。キャンバス上のテキスト編集に、書く方向を切り替える2つのアイコンも加わっています。方向を手動で選ばない限り、入力した文字から自動で判断されます。日本語だけを使う人には直接の影響は小さいものの、英語などと混ぜた文章の扱いも良くなっています。

フィルターや表示の速さ
[縁取り]フィルターでは、選んだ色の透明度を生かした半透明の縁を作れるようになりました。6000×6000ピクセルを超える大きな画像でのグラデーション、選択範囲を示す点線の表示、[設定]ダイアログの開き方も速くなっています。HEIF形式(iPhoneで撮った写真などに使われる形式)では、より大きな画像を読み込めるようになりました。
そのほかの修正
複数のモニターをつないでいるときに、ダイアログが正しい画面に出るようになりました。3.2.6で入り込んだ、グループ内のレイヤーを四角形以外の選択範囲でコピーすると正しくコピーされない不具合も直っています。ほかのソフトへ画像をコピーするときに解像度(DPI)の情報も渡すようになり、貼り付け先で大きさが合いやすくなりました。
セキュリティの修正内容
開発チームは、近年のソフトウェア検査ツールの進歩で、セキュリティに関する報告が大量に寄せられていると説明しています。3.2.8ではそうした報告への対応がまとめて入りました。
いちばん多かったのは、古い画像プラグインや旧来のフィルターが、画像ファイルの中に書かれた大きさの情報をそのまま信用してしまう問題です。この情報を書き換えた画像を開くと、GIMP本体ではなくプラグインがクラッシュさせられるおそれがありました。開発チームは、GIMPは個人のアカウントや銀行の情報を扱わないため、それらが危険にさらされるものではないとしています。修正された件数やCVE番号は、リリース情報では示されていません(未発表)。
重大な被害につながる問題ではないものの、ネットで拾った画像や、知らない人から送られてきた画像ファイルを開く機会がある人は、更新しておくほうが安全で安定します。

今使っているGIMPの版を確かめる方法
- GIMPを起動する
- メニューの[ヘルプ]から[GIMPについて]を開く
- 表示されたバージョンが「3.2.8」なら最新です。3.2.6以前なら更新しましょう
GIMP 2.10など古い世代を使い続けている人もいるかもしれません。3.x系は画面や操作が一部変わっているため、作業の区切りがよいときに移行するのがおすすめです。
GIMP 3.2.8への更新手順
| 入手した方法 | 更新のしかた |
|---|---|
| Windows(公式インストーラー) | 公式サイトのダウンロードページから3.2.8のインストーラーを入手して実行する |
| Windows(Microsoft Store) | Microsoft Storeの[ライブラリ]で更新を確認する |
| Mac | 公式サイトからIntel用かAppleシリコン用のDMGを入手し、アプリを入れ替える |
| Linux(Flatpak・Snap) | 定期的に自動で更新される。すぐ更新したいときは「flatpak update」「snap refresh」を実行 |
更新の前に、作業中の画像は保存してGIMPを終了しておきましょう。自分で追加したブラシやプラグインがある場合は、念のため設定フォルダをバックアップしておくと安心です。
更新するときの注意点
- 入手は公式サイトから:GIMPは無料のソフトのため、名前をまねた非公式の配布や有料のストアアプリもあります。gimp.orgのダウンロードページか、公式が案内するMicrosoft Store版・Flathub・Snap Storeを使いましょう。
- Windows 10の古い版は対象外:インストーラー版はWindows 10 バージョン1903以降が条件です。Microsoft Store版はWindows 11が必要です。
- Macは11 Big Sur以降:それより古いmacOSでは3.2.8を使えません。
- 次の版の予定:開発チームは次の版に向けた作業が進んでいるとしていますが、公開時期や内容は未発表です。
よくある質問
Q. GIMP 3.2.8は無料ですか?
A. 無料です。公式サイトから誰でもダウンロードでき、寄付は任意です。
Q. 更新しないと危険ですか?
A. 開発チームは、個人のアカウントや銀行の情報が危険にさらされる問題ではないとしています。ただし細工された画像でプラグインがクラッシュするおそれがあるため、更新が勧められています。
Q. Windows 11の印刷で何が変わりますか?
A. 印刷時の[画像の設定]タブのプレビューが、Windows 11の新しい印刷ダイアログでも使えるようになりました。既定以外のプリンターも正しく扱われます。
Q. MacのApp StoreにあるGIMPは公式ですか?
A. 公式ではありません。開発チームはApp Storeで配布していないと明記しています。
まとめ
GIMP 3.2.8は、2026年11月2日に公開された最新の安定版です。Windows 11の新しい印刷ダイアログへの対応、一部のMacで起動時に画面が真っ白になる不具合の修正、右から左に書く言語のテキスト編集の改善、大きな画像での動作の高速化など、ふだんの作業に関わる修正が多く入りました。古い画像プラグインのセキュリティ問題も直っているため、3.2.6以前を使っている人は、公式サイトから3.2.8に更新しておきましょう。Mac版は公式サイトのDMGを使い、App Storeの非公式アプリには気をつけてください。



